検討よりも検証を。変革のタグボートとして、日本郵政グループのDXを支援する
JPデジタル 執行役員CSO(Chief Strategy Officer)
杉浦 幸二郎
外資系IT企業やベンチャー企業にて、セールス&マーケティング領域を中心に事業開発や経営企画に従事。
2023年にJPデジタルへ入社し、生成AIプログラムの企画推進をはじめとした各種DX支援プロジェクトを担当。2025年よりCSOに就任。
AI・データ活用・UXで日本郵政グループのDXを支援
――管掌領域での取り組み実績を教えてください。
DX支援部とAI&データインテリジェンス部を管掌しています。これらは、日本郵政グループ各社が取り組むDX施策をAIやデータ活用、UXなどの専門性で支援していく部門です。具体的には以下のような取り組みをしています。
- 配達物量の需要予測:郵便局の配達業務を支援するため、機械学習を使った配達物数予測システムを開発しています。
- 郵便局の販売切手の在庫調整:データ分析によって販売機会損失を評価したり需給調整ロジックの効果を推定することで、利益最大化に向けた切手の供給量調整を支援しています。
- 郵便局アプリの物流改善効果推定:郵便局アプリの荷物の受け取り機能が利用されることによる物流オペレーションへの影響を評価し、アプリの改善や適切なアプリへの投資を促進しています。
- 郵政グループ社員が活用する生成AIポータルの開発:文書作成からマーケティング・企画系業務まで様々な業務シーンで利用できる生成AIを使ったミニアプリ群を開発し、ポータルサイト形式で郵政グループ内に展開し、生成AIのある生活を広げています。また、郵政グループ固有の業務プロセスに生成AIを組み込むことを目指し、RAGを使った生成AI活用アプローチの実験と検証を進めています。
これらは取り組みの一部ですが、日本郵政グループ各社が自律的にDXを推進できるよう支援するのが私たちの役割です。
小さな挑戦を重ね、変革のタグボートとなる
――DXを進めるうえで何を大事にしていますか?
「検討よりも検証」を大事にしています。グループ各社が抱えるDX課題は、何をすればうまくいくか最初から分かっているものではありません。そのため、検討を長く続けるよりも手を動かしながら現場といっしょに考え、小さなことから実行することが大事だと思っています。
ただ、郵政事業という国民の生活に密着しているユニバーサルサービスを扱っているため、決して止めてはいけない、失敗してはいけないという前提があります。
一方で、DXというのは何がうまくいくかはやってみないと分からない、トライ&エラーが当たり前の分野なので、失敗してはいけない価値観とはとても相性が悪いものです。
だからこそ、JPデジタルが「変革のタグボート」となることに意味があります。いきなり100点を取れなくてもいいからまずやってみる。その結果が50点だったとしても大きな前進です。やってみた結果、別のやり方で点数を高めるアイデアが思いつくこともあります。
例えばグループ社員向けの生成AIポータルの開発は、最初から完成形を目指したわけではなくて、小さく始めて、ユーザーの声を聞きながら改善していきました。
最初にリリースしたものは完璧とは言えないものでしたが、まず形にしたからこそ見えたことがたくさんあります。やらなければ気づけなかった現場の声や運用上の工夫が、次の改善につながっていきます。
ユーザーにとっての意味を問い続ける
もう1つ大事にしているのは、すべての施策をユーザー起点で考えることです。
DXはどうしても技術や効率だけの話になったり、べき論で語られてしまいがちですが、「誰がどう便利になるか」がもっとも重要であり、すべての出発点です。
日本郵政グループの社員は、一人ひとりが実直に、責任感を持って日々の業務を支えています。一方で、長く業務に携わっているからこそフラットなユーザー視点を持ちにくくなることもあります。これは自然なことですし、むしろ業務に精通しているからこそです。
だからこそDXを支援する私たちは、「それってユーザーにとって何が良いの?」というシンプルな問いを大事にしています。グループ各社が行う通常業務から離れている私たちだから出せる、ある種の素人発想が活きてくる場面もあります。
もちろん、実行も素人ではいけませんから、現場社員と協力して、対話を重ねながら施策を実行していきます。施策が成功してもそうでなくても、実行した結果から得られた学びを活かしてものごとを前に進めること、学びの得られる実行を支援することが私たちの役目です。
まだ誰も解いていない課題に挑む面白さ
――JPデジタルの仕事の面白さはどこにありますか?
まだ誰も取り組んだことのない課題に挑むことができて、社会に大きなインパクトを与えられることです。巨大な組織と歴史のあるサービスのなかで、何をどこから変えたらいいのか、どうすればうまくいくのか、最初から正解があるわけではありませんし、課題の設定そのものから考える必要があります。
複雑にからみ合った課題を紐解き、愚直に解決策を実行していく。難易度は高いですが、他ではなかなか取り組めない面白さがあります。
そうして取り組んだ結果、DXを少しでも前に進めることができたら、全国2万4千の郵便局、40万人のグループ社員、そしてすべての国民に良い影響を与えることができます。
誰しもが「変わらなきゃ」と感じていながらもどう変えればいいか分からない課題を解くことで、日本郵政グループを、ひいては日本をより良くすることにつながります。
そういった挑戦にやりがいを感じる方には最高の環境だと思います。
関連する事例・取り組み
JOIN US!
一緒にみらいの郵便局をつくりませんか?
とても身近な郵便局が変わることは生活が変わるということ。
あなたの小さな気づきがお客さまの生活を 変えることになるかもしれません。
そんな期待に胸を弾ませながら、 楽しくチャレンジしていける仲間を求めています。
