定性面・定量面から読み解き、顧客体験価値を高める
専門性を武器に活躍する若手社員が挑む、
日本郵政グループのDX変革
大学院で情報デザインを学び、開発会社に入社。UX/UIデザイナーとしてクライアントワークを経験したのち、2023年11月にJPデジタルにジョインした川島大輝さん。
大学で統計学とデータベースシステムを学び、日本郵政に入社。郵便局のフロントライン業務を経験したのち、2年目でJPデジタルにジョインした平方俊行さん。
若くしてその専門性を最大限に発揮し活躍する2名に話を聞いた。
他にはないビッグチャレンジ。期待とワクワク感を胸に。
──なぜJPデジタルで働きたいと思ったのでしょうか?
川島:郵便局は国民全員が関わるもので、ユーザー数≒日本の人口です。ものすごい規模のビジネスに挑戦できることに大きな魅力を感じました。
また、日本郵政グループという大きな組織の中でデジタル化をどう進めていくのか、という点も非常に興味がありましたし、「みらいの郵便局」という新しい価値をつくっていくうえで、これまでの自分の経験を発揮できるという期待もありました。
平方:私は日本郵政のIT総合職として入社し、2023年4月にJPデジタルに来ました。JPデジタルに来る前、上司との面談で、お客さま目線でさまざまなシステムを組んだり、ビジネスを考えることをしてみたい、と伝えたことがあり、日本郵政DX戦略部を紹介して頂きました。
郵便局のフロントラインはまだまだアナログで、人に頼りがちな仕事も多く残っていますが、JPデジタルという今までになかった組織で、デジタルテクノロジーを使いながら仲間と新しいものを共創していく、というのはワクワクしました。
──現在の川島さんと平方さんのミッションや仕事内容はどのようなものでしょうか?
平方:私たちには、データを活用することで、顧客体験価値向上ひいては会社の発展に貢献するという大きなミッションがあります。
そのために、まずはデータ分析チームとしてどう進めていくべきか試行錯誤しています。、例えば、グループ内にあるデータを活用して施策に活用したり、誰もがすぐにデータ分析に集中できるような環境づくりを行なっています。
川島:日本郵政グループでは、多くのBtoC(Business to Customer)、BtoE(Business to Employee)のプロダクトやサービスが存在します。それらの一定レベルの使いやすさを担保していくことが私たちの長期的なミッションです。
そのために「デザインシステム」という、一貫したデザインや操作性でウェブサイトやアプリを提供するための仕組みを作り上げていくことが目先のミッションです。
専門性というバリュー。組み合わせ次第で、2にも100にもなる。
──JPデジタルでは、データ分析やUX/UIはCoE(Center of Excellence)と位置付けられていますね。その専門性が発揮できる環境があるのでしょうか?
川島: 常にUX/UIのプロとして意見を求められるので、十分に能力を発揮できる環境があります。その能力を求められていることが明確なので、そこに集中して取り組めるのも有り難いです。
デザイン的なプロセスを取り入れて実際に施策を進めている実例もあるので、そういう時にも専門職として活躍できる環境があると感じます。
平方:川島さんと同じく、データ分析もすごく必要とされていると実感します。
グループ共通IDやアプリをどうやって広めるかといったマーケティング施策に、私のような若手社員が入れないという先入観を持っていたのですが、そこに対して専門的な観点での意見を述べたり、私たちだったらこういうことができますと言うことができます。
民営化前を含めると150年以上歴史のある企業ではありますが、これまでデータ分析を専門に活動する社員はほとんどいなかったので、若手でも活躍できる環境があると感じます。
──JPデジタルの設立から2年以上が経ちましたが、日本郵政グループの中で、データ分析やUX/UIという考え方において何か変化は感じますか?
川島:徐々にグループ全体で、お客さま起点でモノ・サービスをつくっていこうという文化にシフトしてきているのを実感します。その根幹にはUX/UIが必要であり、期待されているのをつくづく感じます。最近では、プロジェクトの上流である企画段階からUX/UIチームとして関わらせていただく機会が増えてきました。
平方:グループの内側と外側の両面で、どのようにして利用者の満足度を上げていくかという点で、データ活用は非常に重要視されています。
お客さまに対しては、どう顧客満足度を上げるか、UX/UIの向上という観点においてもデータ活用は必要です。
また、社員の満足度を上げるという点においてもデータは重要です。仕事の属人化を防いだり、意思決定が前例踏襲とならないよう、意思決定の判断軸をデータで明確にし、業務効率化するためにもデータが使われるようにしていきたいと考えています。
──データ分析とUX/UIは密接な関係がありそうですね。
川島:ちょうど今、データ分析チームとUX/UIチームの両方が関わっているプロジェクトがあります。
UX/UIチームでは、定性的な調査としてユーザーインタビューやユーザビリティテストを実施し、ユーザーの声を拾って改善を図っていきます。データ分析チームでは、定量的な調査としてアンケートを取ったり、ユーザーに分析用の機器を装着してもらいデータを可視化して数値的な根拠を出してもらっています。
定性・定量データを掛け合わせて改善につなげていくという、これまでにない進め方で取り組んでいるビッグプロジェクトです。
──一緒に取り組むことで、相互にメリットはあるのでしょうか?
平方:川島さんをはじめ、UX/UIチームはとても頼りにしています。
以前、データ分析チームが主導して、初めてユーザビリティテスト結果の集計を実施しましたが、どういった形式でどういったデータが得られるか、そのためにどういった目標を立てるべきか、手探り状態でした。
その時、UX/UIチームの皆さんの専門的な知見をいただけたことで、達成すべき目標に合ったデータは何だろうと、考えられるようになりました。
川島:これまではデータ分析とUX/UIでそれぞれの分野でしか得られなかった発見が、掛け合わせることによって相乗効果が生まれ、別の新しい視点での発見が得られるようになりました。
─ ─これまでに苦労や困難なことに遭遇したこともあったかと思います。そんなときはどのように乗り越えてきたのでしょうか?
平方:データを使わないといけないという意識はあるものの、データをどう使うべきか、使うためにどういう環境が必要かという点に関しては、まだまだ私も含めて理解が不十分だと感じる時があります。
そういう時には、そもそも相手がデータを使って何がしたいのかを汲み取り、建設的に会話をしていく必要があります。しかし、自分一人ではどうにもできない場合もあります。そういった時でも周りに助けてくれる人がたくさんいるので、同じ状況の時にどう乗り越えたか、と聞きながらさまざまな困難を乗り越えてきました。
川島:日本郵政グループの各事業は歴史が深いので、その深さへの理解には苦労しました。
歴史のある企業なので、さまざまな経緯があって今がある、といったなかなか変えにくい部分もあります。JPデジタルに来たばかりの頃は、全く知見もないので一番苦労しました。
今でも苦労する場面もありますが、基本的には日本郵政グループ各社のプロパーの社員と、外部から来たエキスパートとが一緒になってプロジェクトを進めているので、それぞれの得意な分野を補完し合いながら取り組むことができています。
改善を積み重ね、みんなに喜ばれるサービスにしたい。
─ ─お二人はどのようなモチベーションを持ってプロジェクトに取り組んでいるのでしょうか?
平方:失敗せずに悔やむより失敗した方がいい、と上司からよく言われます。やはり自分がスキルアップするうえで、失敗しないとうまくいかないこともあるので、その環境があるというのはモチベーションが上がります。
トラディショナルで、日本のインフラにもなっている日本郵政グループですが、そうした中にチャレンジしやすい環境があるというバランスが、すごくいいなと感じています。
川島:ある意味クリエイターとしていいものをつくりたいという思いが、モチベーションの一つになっています。自分がつくったものが、プロダクトやサービスの顔になるので、どこに出しても恥ずかしくないものにしたい。つくるからには責任を持ってユーザーに届けたい。それがモチベーションになっています。
─ ─どのような出来事が、自身のやりがいや喜びにつながっているのでしょうか?
平方:私はもともと郵便局のフロントラインにいたこともあり、フロントラインをはじめ社員の方からの期待は自分のやりがいにつながっています。
2023年10月に郵便局アプリがリリースした際も、知り合いの社員から「このアプリ、平方さんがつくったの?」「使ってみたけどここを変えてほしい」という連絡をいただきました。自分たちがつくったサービスが全国のお客さまや社員の方に使われていく、というのが直に感じられる瞬間は、とてもやりがいにつながっています。
川島:平方さんと似ていますが、自分たちが見つけた課題に対して適切な改善を行い、実際にお客さまや社員の方に気づいてもらって喜ばれるときは、一番頑張ってよかったなと感じます。
UX/UIは世間的にもまだまだニッチな分野で、そもそも縁の下の力持ち的な立ち位置でなかなか気づいてもらえないのです。ユーザーからすると、UX/UIは「良くて当たり前」という分野なので、そこに気づいてもらえたり、評価してもらえた時はすごくやりがいや喜びを感じます。
自身の専門性を磨きつつ、日本郵政グループだからこそできる大きな挑戦へ。
─ ─今後、どうスキルアップしていきたいと考えていますか?
平方:ビジネス的な感覚やスキルも身につけていき、「ビジネス×データ」で物事を考えられるようにしていきたいです。そのスキルを活かして、ビジネスの意思決定にデータを使っていただけるように、働きかけを行ってきたいです。
川島:顧客体験のデザインのみならず、継続的に提供できる組織や仕組みも、デザインの力で新たな価値を創出していく、「サービスデザイン」の領域もゆくゆくは浸透させていきたいです。
プロジェクトの上流の段階に、デザインの力で踏み込んでいくことで、結果的にさらなる顧客の体験価値向上につながると思っています。それができるようになると、企業として、日本郵政グループ全体もさらに良くなっていくと考えています。
─ ─さらにチャレンジしてみたいことはありますか?
川島:グッドデザイン賞を取りたいです。郵便局のような影響範囲の大きい企業がグッドデザイン賞を取ることによって、郵政グループもデザインに力を入れているということが一般の方にも浸透していくと思います。
平方:グループ共通IDを日本に居住されている多くの方にに使って頂き、いずれは行政サービスでも使われるようになってほしい。そこをデータの観点でサポートしたいと思っています。
目先のチャレンジとしては、今後、組織がどんどん大きくなってくるので、チームとしてお互いに補い合って成長できる環境を、自分が主導してつくっていきたいです。
─ ─最後に、これからジョインされる皆さんにメッセージをお願いします。
平方:これだけ大きな規模感の仕事ができる環境はなかなか他にないと思います。その分見えづらい課題もたくさんありますが、大きな目標に向かって地道に一つずつ課題をクリアしていくのが楽しいと思える人と一緒に仕事をしたいなと思います。自分もずっとそこにチャレンジしていきたいと思っています。
川島:デザイン的な目線でも、郵便局という分野ではいろいろな経験ができると思っています。
例えば、デジタルの部分ももちろんですが、リアルの店舗という部分でもデザインは関係します。その対象範囲も、一般のお客さまから従業員の方までと、非常に幅広いです。
いろいろな会社を転々とすることで一通りのことは経験できると思いますが、JPデジタルでは一つの会社にいながらあらゆる経験ができます。